サロンで使われる“やさしいカラー”の仕組みを解説!

お話会などでお会いした方から、よくこんなお声をいただきます。

「私はオーガニックカラーで染めているから大丈夫です」
「以前はカラーでかゆみが出ましたが、オーガニックカラーに変えてから出なくなりました」

そう感じていらっしゃる方は、とても多いように思います。

ただ、結論からお伝えすると、「自然由来成分93%」とうたわれていても、その“由来”の多くが植物や非石油系ミネラルという意味であり、アルカリカラー剤であることに変わりはありません。

つまり、髪の内部に色を入れるために、キューティクルを開き、脱色や染色を行う仕組みは同じです。

また日本では、数%でもオーガニック由来・植物由来の成分が含まれていれば、「オーガニック」や「自然由来」と表示することが可能です。

さらに、アルカリカラー剤は「医薬部外品」に分類されるため、化粧品とは異なり、全成分の表示義務はありません。

一度、ヘアカラーによるかゆみが出たことがある方が、脱色剤(過酸化水素)やジアミン系染料を含むアルカリカラー剤を使い続けることは、アレルギーのリスクを高めてしまう可能性があります。

“やさしい染め方”という言葉のイメージだけで選んでしまわないように。髪が染まる仕組みを知ってほしいのです。

主要なサロンブランドを確認してみました!

●H color(エイチカラー)/ローランド・オーウェイ

http://rolland.jp/hairColor.php
おしゃれ染め・白髪染め対応

このヘアカラーは、植物由来成分を取り入れながら、アンモニアフリー設計による低刺激性を特徴としています。
ただし、染料やアルカリ成分は天然由来には含まれていません。

  • アンモニアフリー
      → 代替としてモノエタノールアミンなどのアルカリ剤を使用
  • オーガニック植物エキス配合
      → スイートアーモンドエキス、カラスムギエキスなどで保湿・柔軟性を付与
  • 低刺激設計(呼吸器刺激の軽減)
      → 揮発性のアンモニアを使わないことで刺激臭を抑える
  • 2剤使用
      → 過酸化水素による脱色・発色
  • 医薬部外品(アルカリカラー)
      → パッチテスト対象

つまり、「植物由来のケア成分」は配合されている一方で、髪を染めるための染料・アルカリ・酸化剤は別に使われている処方です。



●HUE(ヒュウ)/ナンバースリー

https://hue-color.jp/color/#color--concept
(おしゃれ染めと白髪染めのラインがあります)

このヘアカラーは、植物由来の成分をベースにした処方を特徴としています。
ただし、染料やアルカリ成分は天然由来には含まれていません。

  • PPD(パラフェニレンジアミン)は不使用
     → 代わりにトルエン2,5-ジアミンなどを使用
  • アンモニアフリー
     → 代替としてモノエタノールアミンを使用
  • シリコンフリー
     → 植物性オイルで補う
  • 香料フリー(クリームタイプ)

といった設計になっています。

つまり、「植物由来のケア成分」は配合されている一方で、髪を染めるための染料やアルカリ剤は別に使われている処方です。

●Terra by ESSENCITY(テラ バイ エッセンシティ)/シュワルツコフ プロフェッショナル

https://www.schwarzkopf-professional.com/jp/ja/colour/terra-by-essensity.html
(おしゃれ染めと白髪染めに対応)

このヘアカラーは、自然由来成分を多く配合し、クレイ(泥)を用いた高密着・高浸透の処方を特徴としています。
ただし、染料やアルカリ成分、酸化剤は天然由来には含まれていません。

  • 自然由来成分88%
     → 残りは染料・アルカリ・酸化剤など染毛に必要な成分
  • クレイ配合(高密着・高浸透)
     → 髪内部まで染料を届けるための設計
  • 低アルカリ設計
     → アルカリは使用しているが、刺激を抑える工夫
  • 植物オイル・エキス配合
     → 手触りやツヤ感を整える
  • 2剤使用
     → 過酸化水素による脱色・発色

といった設計になっています。

●LUVIONA(ルビオナ)/タカラベルモント

https://www.tb-net.jp/cosmetics/luviona/c_luviona.html
(主に白髪染めライン)

このヘアカラーは、自然由来成分を多く配合し、
エイジングケアとカラーを両立させる処方を特徴としています。ただし、染料・アルカリ成分・酸化剤は天然由来には含まれていません。

  • 医薬部外品(アルカリカラー)
     → パッチテスト対象
  • 自然由来成分94%
     → 水や植物由来成分を含めた割合であり、染料などは含まれない
  • アミノアクティブ処方(グリシン)
     → 染料の発色をサポートし、低アルカリでも染まりやすくする
  • 低アルカリ設計
     → アルカリ量は抑えているが、使用はしている
  • 専用オキシ(2剤)使用
     → 過酸化水素による発色・脱色
  • 植物オイル・エキス配合
     → シア脂・マカダミア油などでツヤ・保湿


●Villa Lodola(ヴィラロドラ)/ミルボン

https://www.villalodola.jp/
(主に白髪染めライン)

このヘアカラーは、オーガニック認証(ICEA)を取得し、植物由来成分を多く配合した処方を特徴としています。ただし、染料・アルカリ成分・酸化剤は天然由来には含まれていません。

  • 自然由来成分92%
     → 水や植物由来成分を含めた割合であり、染料などは含まれない
  • オーガニック認証(ICEA)取得
     → 原料や製造工程に一定の基準があるが、染毛の仕組みそのものではない
  • 低刺激・低臭設計
     → アルカリや刺激臭を抑える工夫(約70%カットなど)
  • 植物オイル・エキス配合
     → オリーブ油・ホホバ油などで保湿・ツヤ付与
  • 2剤使用
     → 過酸化水素による脱色・発色
  • 医薬部外品(アルカリカラー)
     → パッチテスト対象

■5つのサロンカラーを見てみて

今回、5つのメーカーの「やさしい」「オーガニック」と言われるヘアカラーを見てきました。

  • H color(エイチカラー)
  • HUE(ヒュウ)
  • Terra by ESSENCITY(テラ バイ エッセンシティ)
  • LUVIONA(ルビオナ)
  • Villa Lodola(ヴィラロドラ)

それぞれ、表現や特徴は少しずつ違います。

「自然由来〇〇%」
「アンモニアフリー」
「オーガニック認証」
「低刺激・低臭」
どれも、とても魅力的に見える言葉です。

ただ、5つを並べて見てみると、ひとつ共通していることがあります。

それは…。
植物由来のケア成分が配合されている一方で、髪を染める仕組みは共通しているということです。

【その仕組みとは】

どのカラーも

  • アルカリ剤でキューティクルを開き
  • 過酸化水素(2剤)で脱色し
  • 染料を髪の内部に入れて発色させる

という「脱色+染色」の反応によって成り立っています。

【見えにくくなっているポイントは?】

今回見てきたカラーはどれも

  • 植物エキス配合
  • オイル配合
  • 低刺激設計

など、“やさしく感じられる工夫”がされています。

ただ、それは使用感や仕上がりの工夫であって、染毛の仕組みそのものではありません。

【ヘアケアアイテムともセットに】

サロンカラーのメーカーの説明を見ていくと、必ずといっていいほど「ツヤが出る」「手触りが良くなる」「ダメージに配慮」といった表現が出てきます。

これは裏を返すと、カラー後の髪に対して、何らかのケアが必要になることを前提としている、という見方もできます。

実際に、シャンプーやトリートメント、アウトバスなど、ヘアケアアイテムとセットで提案されることが多いのも、そのためです。

ヘナや植物染めは、まったく別のもの

さて、ここまで見てきて分かったように、化学薬剤メーカーがつくっている「オーガニックカラー」と呼ばれるものは、基本的にアルカリカラーです。
キューティクルを開き、過酸化水素によって脱色し、染料を髪の内部で発色させる。この仕組みは共通しています。

一方で、ヘナや植物染めは、その考え方自体が異なります。

ヘナは、髪の内部を変えるのではなく、表面に植物染料を重ねていくものです。
髪を明るくする脱色はおこなわず、過酸化水素(オキシ・2剤)も使いません。

また、植物がもつ本来のチカラやはたらきは、化学薬剤とはまったく別のものです。
同じ「染める」という言葉を使っていても、実際に起きていることは、まったく違うのです。
ヘナは使えば使うほど、髪にツヤが出て、ハリやコシもアップしていきます。(植物アレルギーがない場合ですが!)

だからこそ、「やさしいカラー」「自然」「オーガニックで染めている」というひとつの言葉の中に、化学薬剤と植物染料を一緒にしてしまうと、本質が見えにくくなってしまいます。

ヘナや植物染めは、まったく別の選択肢です。

どうやって染まっているのかを知ったうえで、自分に合った方法を選んでいくことが、大切なのではないかと思います🌿

いっしょに美髪を育てていきましょ💖
ヘアライター/上條華江