世の中の大半がケミカルな美容室
私がライターデビューした90年代半ばはカリスマ美容師ブームもあり、一般の女性雑誌でも美容師さんがおこなうカットやカラー、パーマの施術過程の紹介記事がありました。カメラマンが撮影をしている間に、美容師さんにカラーやパーマの施術のポイントを取材するのが私の仕事でした。
一般的な美容室では、上の写真のようにパーマをかけたり、髪を染めたりする際に化学製品を使用します。毛髪の主成分であるタンパク質の構造を変化させるために、パーマ剤やカラー剤などの化学製品が使われます。これらの化学製品やそれを使った施術を総称して「ケミカル」と呼んでいます。
多くの方が美容室でケミカルな施術を体験したことがあるでしょう。ケミカルなカラーやパーマをしたことがない女性は、現代では非常に希少な存在ではないでしょうか。
取材を通してこのような施術の場に何度も立ち会い、女のコが最新ヘアでキラキラと可愛く変身していくことは、とてもステキなことだと思っていました。
同時に私はケミカルな美容室しか知りませんでした。世の中の大半がケミカルな美容室であり、いま現在も女性雑誌で取り上げられるのもケミカルな美容室ばかりです。
さらにここ数年でカラー剤はものすごい進化を遂げており、カラーバリエーションが増えて狙った通りの色味が出せるようになりました。アッシュ系外国人風カラーからレッド、ピンク、パープル、ブルーなど個性的な色も自由自在です。トレンド感のあるカラーに惹かれる女性も多いのではないでしょうか?
でも、ケミカルな薬剤を使うということには、デミリットもあるということを知っておいてほしいと思うのです。
ケミカルカラーのメリットとデメリットまとめ
メリットはなんといっても、ケミカルなカラー剤はカラーのバリエーションが豊富なこと。
明度(髪の明るさ)をコントールできて、ほぼ狙い通りの仕上がりになるので、おしゃれ感が出せます。季節ごとのカラーチェンジやファッションに合わせたカラーヘアに私もハマっていたことがあります。
デメリットの中で最も重要なのは、髪と頭皮へのダメージです。
回数を重ねるごとに、髪と頭皮へのダメージが深刻になる可能性があります。「根元がプリン状態」という言い方があるように、一度カラーをすると新しく生えてきた髪と染めた髪との色の差が目立ち、頻繁にカラーをしなければならなくなります。さらに、カラーの褪色が気になるため、これもまた頻繁にカラーをする要因となります。
次に挙げられるのが、アレルギー反応のリスクです。一般的に美容室で使われているアルカリカラー剤には「ジアミン系」と呼ばれる酸化染料が配合されています。アルカリカラー剤はメラニン色素を脱色し、酸化染料を発色させます。この脱色と発色を行う際に欠かせないのが「酸素」です。「酸素」は1剤のアルカリ剤と2剤の過酸化水素が反応することで生じます。このため、カラー剤に含まれるジアミンやアルカリ剤、過酸化水素に反応してアレルギー反応が起こる可能性があります。
さらに、カラー施術により残留した活性酸素が毛髪を作る毛母細胞やメラニン色素を作り髪を黒くする色素幹細胞を破壊するという説もあります。これにより、白髪の増加や薄毛、細毛になるリスクも考えられます。
意外かもしれませんが、ファッションカラー(おしゃれ染め)もグレイカラー(白髪染め)も、脱色をおこなっているのです。おそらく、これをカラー施術前に説明してくれる美容師さんはほぼいないでしょう。
最後に、ケミカルカラーのデメリットのもうひとつは、人工的な見た目になってしまうことです。20代はおしゃれなルックス重視で様々なカラーに挑戦するのもいいかと思いますが、年齢を重ねると無理のないナチュラルな髪色のほうが断然ステキに見える気がしています。
私は自分の取材経験やナチュラルな薬草を使ったヘアカラーに以降した体験から、まずはみなさんが通っている美容室での施術内容やケミカルな薬剤について知ってほしいと思い、今回の記事を書きました。
次回は【ケミカルとナチュラル考察②】「ナチュラルな薬草カラーって何?」 という記事をお送り予定です。
いっしょに未来の美髪を育てていきましょう!
ヘアライター上條 華江